2011年03月19日

【お別れ録音】VICTOR SG-18

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 日本ビクターが1965年に発売したSG-18。
まさにエレキ・ギターのダイゴ味。それは優れたマイクが味あわせてくれる魅力です。ビクター・エレキ・ギターの抜けるようなクリアーな音色、素晴らしい音の秘密は、音の世界のNO.1、ビクターの音響技術から生まれた、超高性能マイクにあるのです。
等々の煽り文と共に世に送り出されたアレ・エレキ。製造元はマツモクで、同時期のコロムビア・ブランドのエレキと同程度の品質。これのサンプル・サウンドは当然、

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↑この人をネタ元とすべきであるという事は、充分に認識しております。充分に認識してはおりますけど、自分的にはどうも、やっぱり気分じゃないなあっていう★

 今回の個体はネックが順ぞり気味で、あんまり弾きやすい方ではなかった。それと、アームが欠品でトレモロが使えない。まあそのうち、エレキ歌謡的なものをきっちり作ってみたい気分になるかも知れないし、そうなったらその時に、別のエレキを使って録音すればOKだと思う。今回は全然別の題材、前々から作っておかなきゃと思っていたものなんだけど、

左手は人差し指1本だけで弾くギター

というのを録音してみました。弦を押さえる方の手=左手は、リードもバッキングも人差し指1本しか使ってませんよ、という作例です。

■ギター・アンプはYAMAHA YTA-25/マイクはAUDIX D1
■PUポジションは、リードがC。バッキングはF+R。
■ノー・エフェクト/クリーン・トーン

■2011年3月4日録音


 バッキングのコードは以下の6種類です。6本ある弦のうち、1個所しか押さえない(2番と4番)、あるいは3〜4本の弦をセーハする(1番、3番、6番)、さらには、どこも押さえない(5番)というコードだけ。

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○とか△の意味は、

×=鳴らさない方がよい、ミュートするべき音
△=状況によっては使用を制限するべき音
=いわゆるコード・ルート

って事なんだけど、初心者の人はとくに気にしなくてもOK(とはいえ、×だけは鳴らさない方が良いです)。コードネームとかも知らなくてOK(中級者以上なら書かなくても分かるだろうし)。コード進行は下記の表の通りです。

*)私の演奏ではベース・ライン的な動きを加えるために、上記コード表の●ポチを打った場所以外も押さえてますが、それも全て人差し指だけで行ってます。

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 もちろん自分的には、指を3本4本と使ってコードを押さえる方がずっと楽なんですけど、ここではあえて、最もシンプルな形でどれほどの事が出来るかを示してみました。

*)コード・フォームがシンプルだからといって、それが必ずしも押さえやすい形であるとは限りません。

 なぜこういう事をしてみたかというと、21世紀になった現在も、初心者用のギター教則本では最も基本的なコード、一番最初に憶えるべき形として、

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 ↑これが載ってるみたいなんですが、「いまだにこれかよ★」みたいな驚きがあったものですから。これを最初に練習するってのは絶対におかしいと思うのです。
・けして押さえやすい形ではないし、
・4本の指を均等に使うという点では訓練になるのかも知れないけど、
・それはつまり「効率の悪い形」だという事なのでもあり、
・なによりも、コードの響きにギターならではの良さが生かされない形である。
 私はこのが大嫌いだ。当ブログには現状、100個近い音ファイルがUPされてますが(たぶんそれくらいはあると思う……正確には分かりません)、このを使ったものは一つもない(はず……一つくらいはあるかも。2弦を押さえないC maj7なら多用してると思う)。
 指板を指一本でペタっと押さえるだけで、上記コード表の1番や2番のような豊かで美しいサウンドが生まれるのがギターという楽器の美点なのに、初心者が何も知らないのをいい事に、わざわざみたいな、押さえにくい上に響きも良くないコードの習得を強要するなんてイヤガラセとしか思えない。それで次に出てくるのが、

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 最悪ですよね。まあ一旦コツを掴んでしまえば、実はそれほど難しくはないのがですけれど、やはりこれ、初心者にとっては「壁」である。まともな神経の持ち主であれば、ちょいと軽い気持ちで始めたお遊び(ギター)で「壁」にぶち当たれば、すぐに引き返すのが道理で、しかしこの「壁」をものともせず、困難の克服に血道を上げる練習バカ的人種というのも少なからずいるのも世の常で、その結果どういう事になるかというと、世間一般の評として、
「ギタリストには音楽的センスが著しくアレな仁が多い、とくにフュージョン(死語)とかピロ系など、テクニック重視な方面は絶望的である。」
 なんでギタリストはイモばかりなのかといえば、それはこうした初期段階での「壁」による選別の結果であると、そう考えれば納得です。

*)なお、この「Fコード問題」に関しては私の文章なんぞよりずっと説得力がある(かも知れない)名文が、既にWeb上にありますのでそちらへのリンクを貼っておきます(直リンではなくGoogleにしておきます一応)。

*)を使うのが良くない、と言ってるのではなく、これが最も基本的な形であるという扱いになってるのがおかしいと言ってるのです。どのみち、ロー・ポジションでのCはこれを使うのだから、初心者もいずれは憶えなければいけない形です。それと、エレキとアコギではコードの鳴り方が異なり、アコギでならこのCも、けっこう良い響きがすると思います。

 ギターを良い音で鳴らす、ギターという道具(物体)から美しいサウンドを引きだすために必要なのは、指をへんな形に折り曲げて、必要でもない握力を鍛え、楽器をギュウギュウ押さえつける事ではなく、指板上の●ポチ(押さえる場所)の配置の如何によってサウンドが良くもなれば悪くもなるという、パズル・ゲームの面白さを理解する事(そして、そのパズルを遊ぶための自分なりのルールを見つける事)なのであるから、いわゆる初心者用にして最も基本的とされるを憶えたりするのは時間の無駄である。初めてギターを触る人は、左手は極力シンプルにしておいて、右手の練習に注力した方がよい。最初の段階で最も重要なのは「リズムを崩さない」という習慣を身に付ける事。左手で色々な事をし始めるのは、ギターを抱えるという姿勢・行為に体全体が馴れた後でぜんぜんOKだと思うのです。

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初心者用としてのを否定する、もう一つの理由;

 宮崎駿監督のアニメ映画『魔女の宅急便』が公開されたのは1989年。荒井由実の「ルージュの伝言」と「やさしさに包まれたなら」が主題歌として用いられました。2011年現在の20歳前後の世代が小学生になった頃(1996年前後)とは、つまり『魔女の宅急便』が公開されて6〜7年目の頃で、その時既に、この作品はアニメ映画の大スタンダードという位置付けを得ていた。主題歌も然り。ところで、「やさしさに包まれたなら」の冒頭部分のコード進行は
 I → II7
で、これはいわゆるD.エリントンのAトレイン・チェンジであり、A.C.ジョビンのイパネマでもある(上記コード表でこれに一番似た響きが得られるのは1番→4番という組合せですけれど、全く同じにはなりません。「やさしさに……」を全部弾くには、指を3本使う形が必要です)。

 現在のギター初心者が子供の頃に聴き馴染んだサウンドとはこういったものであって、古賀メロディーやテケテケ、四畳半フォーク等に感化されてギターを始めた我々はげおやじ世代とは土台が違うと言わざるを得ない。そういった現在の初心者に、おやじ世代の常識であるの習得を押しつけてよいものであろうか?それはむしろ、失敬でさえあるのではなかろうか?ギター初心者を対象とした教育の現場におられる諸氏は以上の点を鑑み、教育用メソッドの早急なる改革に努められたし。

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ついでだから無駄書きを続けちゃいますけど;

 楽器には大まかに分けても弦楽器/管楽器/打楽器/鍵盤楽器など色々な種類があり、弦楽器というカテゴリ一つをとっても、弦を弾くもの/弓で擦るもの/棒で叩くもの等々に細分化される。とにかく、やたらと沢山の種類があるものです。なんでそんなに沢山かというと、どんな楽器にも、それぞれ他の楽器と比べた場合に長所・短所がある、というのが理由の一つ。では、ギターという楽器の長所は何か?ざっくり言ってしまうと、

 かんたんな楽器だよ☆

という事ですね。演奏技術を習得するのが容易なうえに、値段が安く、室内に置いてさほど邪魔にならず、持ち運ぶのもまあまあ容易な大きさ。バイオリンや管楽器よりかは丈夫で、音量は大きすぎず、エレキなら電力で調節可能。万事お手軽な楽器なわけです。すごく普及するわけだよね。ギターは大衆的楽器の王様である。あるいは女王である。もちろん「鍵盤ならスラスラ弾けるけどギターにはどうも歯が立たない」という人も少数ながらいるけれど、たいていの人にとってギターとは、少なくとも歌の伴奏のためにコードを掻き鳴らすという使い方なら、わりとすぐにマスター出来る(確率の高い)楽器である。ギターは簡単な楽器。それがギターの最大の美点
 ですから、ギター初心者がはじめに憶えるべき事も、とにかく簡単に、出来るだけ簡単にと心掛けるのが理に叶ってるのではないでしょうか?押さえにくいコードの形で練習を始めるなんて、ホント無駄な事だと思います。


人差し指一本でリード(メロディー)を弾く件;

 この録音はリード・パートも人差し指一本で弾いてますけど、メロディーを弾くという事に関しては2本以上、出来れば3本以上を使う方がぜんぜん楽。とくに、アドリブ的なアプローチで演奏する場合、
メロディーの一本指奏法は難しいですよ
 一本指では細かい譜割や早いフレーズが難しい、という事ではなく(それは馴れの問題で、日頃から一本指奏法の練習をしていれば、相当速いフレーズも一本指で弾けるようになります)、
・スペースをたっぷり使った大きな譜割
・シンプルな音遣い
・要するにスカスカ状態
にならざるを得ないような技術的制限を設けたうえで、音楽的な意味内容のある演奏をするが難しいという事です。メロディーの一本指奏法は音楽的なチャレンジであり、訓練のための方法です。

 実はこの一本指メロディー奏法、パット・メセニーがやってる(とインタビューで語ってた)事の物まねです。だから既知だよという人も多いのでは?メセニー氏はスランプ気味になった時に、自分をリセットするために行うんだというような事を語っていたと思うんだけど、詳細は忘れました。ともかくこれは良いアイディアなので、私も時々行ってます。あんまりやりすぎると先述した通り、一本指でもけっこう自由自在に弾けるようになってしまい、そうなっては意味がないのでホドホドに。W.モンゴメリーの(右手の)親指一本奏法も、これと似た発想の産物であるとも言われてます。技術に制限を掛ける事で音楽が引き出される、という発見。

 メロディーを弾くなら4本指全てを使う方がはるかに楽であるし、ギター弾きとは基本、両手の指を自由自在に動かせるように自分を訓練してしまう人種なのでもあるけれど、とくにアドリブ的なアプローチで演奏する場合、指を自在に動かせるという事は往々にして、音楽の演奏ではなく、楽器の上で指をパタパタ動かして面白がってるだけの、結局のところは「指グセ」で時間潰しをしてるだけの、要するに音ゴミの垂れ流し状態に陥りやすい。テクニック重視、というよりテクニック依存の傾向の強い奏者の演奏には、そうなってしまい易い危険性が常に含まれている。

自由自在に弾けると音ゴミになる、のではなくて、「弾けている」という意識が奏者の耳を鈍感にしてしまうのです。

 一本指で不器用に並べたスカスカの音群であっても、音楽として成立してなくてはいけない。それが無理でも少なくとも、奏者の想念内にある音楽像のスケッチ、荒削りな骨組みや走り書きの設計図的なものが表現出来てなくてはいけない。もし私にそれが出来ないのだとしたら、私の中に音楽はないのが明らかで、その場合は根本的な自己改造が必要となります。一本指で弾いたラインがイモならば、そのミットウモナサを粉飾しようと細かい音符で埋め尽くしても、かえってイモが増量されるだけ。メロディーの一本指奏法は、自分の音楽性を測るのに格好の題材です。


 一本指奏法の作例はもう一つあります。こちらは、いわゆるロックンロール的な王道パターンで、リードはスライド・バーを使ってます。

■ギター・アンプはYAMAHA YTA-25/マイクはAUDIX D1
■PUポジションは、リードがR。バッキングはF。
■両パートにPOSのディストーションを掛けてます。設定は、
リード;Tone=3時、Dist=12時
バック;Tone=12時、Dist=12時

■2011年3月4日録音


 私はスライド・バーを薬指に嵌めます。ですからこのリード・パートは人差し指ではなく薬指一本奏法ですなんていう細かい話しはどうでもいいですわな。指一本である事に違いはない。

 バッキングは下図の形を用いてます。本式のロックンロールはこれじゃないんですけど、今回は指一本にこだわってみたもので。1番から2番に移る時等に、●ポチ以外の場所も色々押さえて軽く味付けしてます。そういうのは演奏者個々人の好みに合わせ、好きなように作り替えればOK。

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 上図3パターンを下図の順番に並べるとロックンロール☆

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 POSのディストーションは、モッサリモーモーな音が基本キャラな歪みだと思うんですけど、今回のは河原で小石がガラガラ転がってるような、どこか壊れてるんじゃないかというような音になってますね。ギターとの相性でそうなるのであろうか?これはこれで良い音だとは思うんですけど、本当にどこか壊れてるのかも知れぬ。


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 このエレキのネックは固定式ロッドの入ってるスチール・レインフォースドで、反り具合の細かな調整は出来ません。ネックエンドには小さなナットの頭が出てるので、もしかしたら調整可能なのかも知れませんが、私には回す事が出来ませんでした。

posted by ushigomepan at 20:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 手放す機材の、お別れ記念録音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月04日

ギターを純正律風に調律する試み@タレガのラグリマ

 ギターは平均律の楽器です。なのでギターでコードを弾くと長短3度(およびその転回型である6度)が調子っぱずれで良い響きがしません。というか、ギターの3度は不快です。純正律の3度に比べ平均律のそれは、
・長3度は広すぎ
・短3度は狭すぎ
だからですね。

 ピアノも平均律の楽器ですが、ピアノの3度はギターと比べ多少はマシです。それは何故かという説明等々は後日、暇と気力があれば書くとして早速本題。

「クラシック・ギターを、出来るだけ純正律に近い調弦=<擬似>純正律に調弦してみるテスト」

 大曲や複雑な転調が含まれてる曲、また主要和音の構成音が開放弦ではないキーの曲などでは無理かも知れませんが、例えばF.TarregaのLagrima。この曲はちょっとの工夫で、3度の不快さを軽減出来る(可能性がある)ので、以下にその方法を説明します。


1.まず、いつも通りギターを平均律に調弦します。
2.次に、5弦を少しだけ高く、4弦を少しだけ低く調弦し直します。
3.運指は下記の譜面のものを用います。

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(↑クリックすると大きな画像が開きます)

 この譜面は(株)全音楽譜出版社・阿部保夫『タレガ名曲選集』から拝借しました。赤い数字の運指番号は、擬似純正律で弾くために私が作り変えた個所です。
 「5弦を少しだけ高く、4弦を少しだけ低く」というのは具体的に、どのくらい上げ下げすれば良いかというと、

・曲頭の、5弦7フレットのEと1弦4フレットのG#で作られる長10度(オクターブ+長3度)が純正音程になるまで5弦を上げる。
・曲頭2拍目の、4弦4フレットのF#と1弦5フレットのAで作られる短10度(オクターブ+短3度)が純正音程になるまで4弦を下げる。

です。それを例えば「セント数でいくつ」というような指定を出来たら良いのかも知れませんが、そういう事よりも、そもそもここで得ようとしてるのは純正音程なのだから、数字やメーターを用いなくとも耳で聴けば分かるだろうという話しです。ただ、10度は音程幅が広い分ちょっと合わせづらいので、

・5弦7フレットのハーモニクスのEと1弦4フレットのG#
・4弦12フレットのハーモニクスのDと1弦1フレットのF

を用いる等の工夫をした方が良いかも知れません。楽器によって倍音の出方は様々なので、合わせやすいポイントもそれぞれ違うのでありましょう。
 また、最近のチューナーには「純正3度ガイドマーク」というのが付いてたりするらしいので、

(例)

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YAMAHA TD-30M

希望小売価格 : 6,300円(税込)

マイク内蔵クリップで機動力抜群、管楽器や弦楽器に直接取り付けて使用できる、超小型軽量タイプ。純正長三度,純正短三度ガイドマーク付き。表示方法はLCD、オートパワーオフ機能搭載(約20分)。マイク内蔵クリップ(大、小)付き

こういう道具を利用するのも良いのかも知れません。


 以上、6本ある弦の内の2本の音程を少し上げ下げし、運指を一部変更。それでどういう効果が得られる(と予想される)かを図示したのが↓の譜面。

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 譜面をピンクと水色でマーキングしてあります。

・無色(ノーマーク)の部分は平均律、通常の調弦法で弾くのと変わらない部分。
・ピンクでマークした2音は、この<擬似>純正律調弦を行う事によって純正音程となる個所。
・水色は、この調弦法によって通常より更に協和度が下がる(調子っぱずれになってしまう)個所。

です。ギターは平均律に合わせたフレットが打ち込まれてる楽器ですから、平均律以外の音律に調律しようとすると、どうしても「あちらを立てればこちらが立たず」的な事態が生じる故、音程が合ってる部分と合ってない部分のデコボコが生じてしまいます。
 声やフレットレス弦楽器のような、音程を自由に作り出せる楽器ではなく、鍵盤楽器やフレット付き弦楽器などの予め音程が固定されてるタイプの楽器では、1曲内の全ての音程関係を純正にする事はもともと無理なのです。私が、このラグリマ用の調弦法を純正律<風>とか<擬似>純正律と呼んでるのには、そういう事情があるからです。

 フレット付き楽器だから完全な純正律は無理なのだとしても、こういう小細工をする事で、通常の調弦よりも更に不快な音程が生じてしまうのは本末転倒と思われるかも知れませんが、水色の部分は「小さな音で弾く」あるいは「音を長く伸ばさない」ようにすれば目立たないという逃げ道がある。ラグリマという曲の特徴は「連続10度の多用」という点にありますから、

☆曲内で多用される10度の多くが純正音程になる
☆曲頭および終止和音の10度(および3度)が純正音程になる

という点が、この<擬似>純正律調弦を行う事によって得られるメリット。

★平均律より劣る音程は小さく弾いたり短く切ったりして目立たせないようにする→そのためディナミークやアゴーギクの適用が制限される

という点はデメリット。この、メリットとデメリットのどちらを重視するか?あるいは妥協点を見出しうるか?そして最終的には、こういった試みから何らかの音楽的な有意義性を引き出せるかどうかが一番大切な事だと思うんですけど、それらは奏者個々の判断と技量に拠ります。興味のある人は実際に音を鳴らしてみてください。私が考案した調弦と運指より、さらに良い組合せ方があるかも知れません。ラグリマは、クラシック・ギターとしてはかなり簡単な曲なので、クラシック以外のジャンルの人にもおすすめ。エレキで弾いてもOKだと思います。


ちなみに;
私がこの調弦法を純正律<風>とか<擬似>純正律と呼ぶ理由はもう一つあります。垂直方向の音程のいくつかは純正音程になりますが、水平方向、つまりメロディー・ラインは平均律なんですね。ですから<擬似>純正律調弦で演奏すると、
「平均律で動くメロディー・ラインに純正音程の対声部が付きハーモニーが構成される」
という状態になります。人によっては、この点に大きな違和感を感じるかも知れません。

ちなみにの、その2;
ギターには「ハイ・ポジションに近づくほど音程の狂いが大きくなる」という問題がありますが、2枚目の画像(ピンクと水色でマーキングした譜面)は、その点を無視した机上論ですから、実際の演奏では、その時々に用いる楽器の状態によって理屈通りにならない個所も生じるであろうし、使用するギターに合わせた再調整も必要になるはずです。こんな事はギターを弾く人にとっては常識ですけど、一応注記。

ちなみにの、その3;
運指について
1.ホ長調部分の最後の和音の上声Eは、3弦8フレットのD#→Eという動きですから、1弦開放では音色の差がありすぎると考え3弦9フレットのEにしましたけど、1弦開放のEでも可です。オリジナルの運指が作曲者によるもので、それが1弦開放を指定してるなら、当然オリジナルを尊重するべき。
2.ホ短調部分5小節3拍目、4弦5フレットのGは、音程的には3弦開放の方が良いです。

ちなみにの、その4;
3度音程の事ばかり話題にしてますけど、その他の音程は?
・平均律の完全4度/完全5度は、純正律のそれとほぼ同じ。(誤差の範囲で、また実用的に)4度5度に関しては平均律=純正律と見なしてOK。
・2度(およびその転回型である7度)も純正音程に出来るならそうしたいものです(純正の長2度は平均律の長3度より協和度が高い)。現実的には無理な相談です。
・増4度……純正音程の増4度というものはありません。だからこその増4度です。

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2011/03/04追記;
純正律風タレガのラグリマをテスト録音してみました。

細かいナニは後回しで、とりあえず比較試聴。
・ノーマルなチューニングと運指
・擬似純正律風チューニングと私が改した運指
の2通り。どっちがどっちかというのは伏せておきます。

 DAW上でリバーブを深めに掛けてます。もちろんこんなにどっさり掛けるのは滑稽なんですけど、音の尻尾が伸びれば音律の違いも強調されるかと思いまして。

■2011年2月6日録音
■ギターは加納木魂 #30

■マイクはRCA BK-5B
■楽器とマイクの距離は約55cm

■リバーブはTC|Native Reverb Masterのプリセット・Church。
■Decay Time=3.0 secs. 続きを読む

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2011年02月14日

【お別れ録音】YAMAHA SC-800

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 YAMAHAのSCシリーズは、いわゆるヤマハ黄金期(おおよそ1975〜85年)を代表する不人気機種。ストラトキャスターをフェイクしたもので、主な特徴(ストラトとの違い)は、
・トレモロ無しのハード・テール。
・PUはバー・ポールピースのシングル。
・PUセレクタ・スイッチは各PU個々にON/OFF可能で逆相も可能。いわゆるジェフ・ベック配線。
となっております。ネックはローズorエボニー指板メイプルのボルト・オン(最上位機種のSC-1200はスルー・ネック)。ボディ材はアルダー。

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2010年11月15日

【お別れ録音】Greco KF190・グレコ印のソリアコ

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 テレキャスの拡大コピー、グレコ印のソリアコです。大きさが意味不明。ソリアコって言葉も意味不明。しかし楽器としては、これはなかなか良いものです。ソリアコといっても特別な仕掛けがあるわけではなく、ボディ構造は(60年代日本製エレキとしてはありきたりな)支柱ありシンライン・フルアコです。
 この個体はネックと指板が剥がれかかっていて、状態はあまり良くなかったんですけど、それでもわりと弾きやすかったです。PUも、けっこう良いと思う。

■ギター・アンプはYAMAHA YTA-25/マイクはAUDIX D-1
■PUポジションはリード=Mix/バック=F
■両パートともエフェクト無し

■2010年11月02日録音


 シンライン・フルアコ特有の、ボソボソした腰のない音。アタックはヘナヘナ。しかし私はこういうエレキが好きなんですね。フレーズを「歌い上げる」のではなく「語るように」弾きたい時は、こういう鳴り方のギターが適してるのではないだろうか?
 エレキの設計・製造技術は「ボソボソしない・ヘナヘナしない」方向へ進化発達してきた(と思うから)、ボソヘナではない「ちゃんとした・いい音」のエレキは今の時代、いくらでも手に入ります。そのかわりボソヘナなエレキをわざわざ作ってみせるメーカーは無いんじゃないかな。70年代より以前の安エレキの世界を探せばボソヘナ大漁ですけど、そのほとんどは弾き辛すぎて使い物にならない。

本日の格言;
「真に得難きものは、ボソボソヘナヘナだけどそこそこ弾きやすいエレキである」

 得難きもの……のわりには、私の家にはこのテのがまだ4本残ってますっていう。どれもそれなりに良いものなんだけど、こんなガラクタが何本も手元あるのはイヤだから、最大2本を残しあとは売却する予定。グレコのソリアコがその第一号になったのは、やはりボディでかすぎという理由が大きい。弾く時に邪魔・壁に掛けても邪魔。表面積はマーチンのドレッドノートより大きいかもしれないよこれ。

タグ:Greco KF190
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2010年11月14日

【お別れ録音】Fresherのムスタングもどき/FN-281

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Fresherブランドのずいぶん安いムスタングもどき、FN-281。という長ったらしい名前でいちいち呼ぶのは面倒ですから、当ブログ内ではふれったんと略称いたします。

・ベースだからエリザベス
・ムスタングだからむったん
・じゃあフレッシャーのムスタングもどきは、ふれったん

という事ですね。ふれったんは1970年代の初期〜中頃、日本製エレキのコピー度が徐々に高まってきた時期の製品。「昭和の安ムス」といえばとむたんがダントツの人気一位ですが、

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(参照画像)

ふれったんも当時はそれなりに売れてたらしいです。本物のムスタングとの違いは、

・ボディの形がへん!
・スケールはミディアム
・やたら重い
・PUはメタル・カバー
・逆相接続は不可

など多数あり、こうやって数え上げてみるとふれったん、実はムスタング・コピーではないような気もしてきます。しかしレーシング・ラインはムスタングの証。トレモロ・ユニットがフローティング・タイプであるのもまことに遺憾な仕様ですけど、21世紀日本における最新型の安ムスも、いまだにこういう有様で↓

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こういうのってなんなんだろ。3D映画と同じく、
一周してレトロ(*)
って事ですかあ。

(*)講談社コミックス・野中英次/亜桜まる『だぶるじぇい・第2巻』の目次を参照のこと


 さてそれで、ムスタングないしムスタング風エレキのサンプル音にふさわしい題材とはいかなるものであろうか?とりあえずムスタングを使用してる著名人としては、

・初期のトッド・ラングレン
・中野梓

の二人くらいしか思い付けない当サイト管理人です。それで私は、トッド・ラングレンなんて良く知らないしあまり興味もない(トッドがムス使いだというのは、何かの話しのついでで知ってるだけ)。それに、画像ググってみたけどトッドがムス持ってる写真は見つけられなかったので、この人ほんとにムス使ってたのかどうかの確信が持てない。なので今回は梓ネタでいきます。当然中野梓に捧げる曲の類をなにするべきですが、それはパス(それをやるなら願わくば、もっとまともな楽器で弾きたいです)。

 ふれったんは70年代になってからの製品なので、安物といえどもテスコ類よりかはずっと弾きやすいです。でもそれは、あくまでも「テスコと比べればマシ」というにすぎないのであって、現代の標準からしたらアレ。ですから、あまり弾きやすくはないエレキでも出来る梓ネタを探さねばならない。見付けられなかったら捏造せねばならない。そこで

「半音の、はんぶんのはんぶん」(*)

なんてお題はどうでしょうか。

(*)けいおん!!第2期/第6話:梅雨!を参照のこと

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2010年11月13日

【お別れ録音】Teisco MJ-2L

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1963年に発売開始されたMJシリーズの初期Var.。載せられてるPUは、フルアコ用後付けPUとして販売されていたGM-F1

■リード/バッキングともMJ-2L
■ギター・アンプはYAMAHA YTA-25/マイクはAUDIX D-1
■PUポジションはリード=F/バック=R
■リードにはBOSS DM-2。設定は、全てのツマミをセンター
■バッキングはDAW上でダブル・トラックにし、その片方を数ミリ秒ディレイさせ、さらにリバーブを足してあります。

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■ベースはTeisco Phantom Bass
■ギター・アンプはYAMAHA YTA-25/マイクはAUDIX D-1
■PUポジションはF

■2010年10月02日録音


 GM-F1はなんというか、すごく「可愛い音」だと思うんです。普通の意味でのエレキの音とは違いすぎるんで使う機会は少ないかも知れないけど、こういう音のエレキを1本くらい持っててもいいかな。ただ、標準的なポップスのバンド編成=ドラムやキーボード等が加わった状態だとオケに埋没して、まるで聴き取れなくなってしまうかも知れない、そんなような音ではありますね。
 録音を終えてからバッキングが薄すぎるように思えてきたので、DAW上でダブルにしてどーのこーのって細工したんですが効果無し。

 ベースは前回と同じセッティング。PUポジションだけ今回はFにしてみたんですけど、これは×ですね。こういうパターンを弾くならお作法通り、フェンダー系を使うべきでした。ただしベースは、ドラムと組み合わせてみない事には実際の良し悪しは分からないです。


 今回の音ネタはソウル・クラシック的な王道パターン。意外に今まで、こういうのをやってなかったです。しかしいったい何がいけなかったのか、ソウル・クラシックというよりオールディーズ、しかもいわゆる赤坂界隈で言うところのオールディーズみたいなものが出来上がってしまった。これはダサいわ。

 弾いてる事といえば、これ系の定番リックを並べただけなんですけどねえ。歌い方(フレーズの組み立て手順とかタイム感とか)が、日本人のそれになってる(のかも)。日本人が弾いてるギターなんだから日本人の歌い方になって悪い理由もないですけど、それじゃあダサいって事です。シンプルなものは素養がバレやすいから怖い。お里が知れるってやつですね。

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2010年10月10日

【お別れ録音】electro-harmonix MEMORY MAN Vs BOSS DM-2

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当ブログにも、ついにこのテの企画が登場。機材対決、
Vs(ばーさす)のコーナー
です。今回はエレハモのメモリーマンとBOSS DM-2を聴き比べ。

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■リードはTeisco TRG-1
■ギター・アンプはTeisco MODEL 71C/マイクはAUDIX D-1
■MEMORY MANの設定はDelay=1時半/FeedBack=12時/Blend=10時半
■BOSS DM-2の設定はRate=0(最長)/Intensity=12時/Echo=10時半

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■バッキングはGuyatone LG-880"MARROLY"/PUポジションはR
■ギター・アンプはYAMAHA YTA-25/マイクはAUDIX D-1
■MEMORY MANのコーラス・モードを使用
■設定はDelay=3時/FeedBack=0/Blend=12時

■2010年10月01日録音


 当コーナーの録音作業は44.1k Hz/16bitで行ってます。それをネット配信用にmp3化したのが↑のファイル。だから、あんまり細かな音の違いは分からないかも知れませんね。少なくとも製作者自身である私にはエレハモもボスも、どっちも同じように聞こえます。となると今回は、
Vs(ばーさす)のコーナーとして成立してません
って事になりますか?それはちょっと残念なアレですけど、楽曲流通の主要なチャンネルがネット配信に移行しつつある現在では、データ圧縮によって失われるような細かな違いにこだわるのは全く無意味です。エレハモとボスの違いがmp3ファイル上では認められないという事は、
ネット配信用なら、どっち使っても同じ
という事なのであり、それを確認出来たという点では今回の録音作業にもそれなりの意義があったと言えよう★

一応念のために書いておくと、最初のL ch.8小節がメモリー・マン→次のR ch.8小節がボス→以下同様、という振り分けになってます。


 Teisco TRG-1を当ブログで用いるのは3回目ですが、過去2回は原音無関係なエフェクターのサンプル、あるいはバッキング用。リードに用いるのは今回が初ですので多少詳細に紹介しておきます。1990年代の終わり頃に入手したもので、大改造してあります。

1.内蔵アンプ、スピーカーを撤去
2.リフレット
3.ペグをGOTOH製に交換

 改造したのは上記3点だけですけど、1と2だけでオリジナルとは完全な別物になってますね。内蔵物を取り出したので、アルミ製巨大ピックガードの下は伽藍堂。だからこれはソリッド・エレキではなく、表板がアルミのセミアコに近い。音の方も実際、そういう鳴り方をしておりますね。ベニア・アコギ(Kayとかの安物)の鳴り方がそのままエレキ化したような、独特なアタックがあります。

 リフレットしてあるので、いわゆる「テスコならではの弾きにくさ」はありません。普通に弾きやすいです。リフレット作業は自分で行ったので上手くない。上手くない分だけ、ちょっと弾きづらい。リペア・ショップできれいに仕上げたら、もっと弾きやすくなる(はず)。

 ディレイのサンプルだからリバーブの付いてないアンプの方がよいだろうという事で、久しぶりにTeisco MODEL 71Cを使いました。このアンプのせいでTRG-1のセミアコ感(伽藍堂感)が強調されてるかも。

 バッキングはマロリーですが、メモリー・マンをコーラス・モードにして掛けてます。このコーラスはけっこう良いんじゃないでしょうか。メモリー・マンはディレイよりコーラスの方が使えるっぽい。

 TRG-1は擬似セミアコ的な腰のない音。対してコーラスを掛けたマロリーの音は分厚くて、これでは主従関係が逆でしたね。8×4の32小節で1バースのパターンですが、バッキングにブレイク・ポイントを設けるべきだった。ディレイ音の聴き比べ用途としては、バッキングにどこか一個所でも隙間があった方が分かりやすかったですね。

 メモリー・マンはノイズ多いディレイなんですが、バックをこれくらい埋めてしまうと目立たないかな?もちろん、いつでも常にバックが厚いわけではないのだから、ノイズ多いディレイは使用範囲が限られてしまいます。実用品としてはボスの方が上。

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2010年10月07日

【お別れ録音】Teisco EP-2L(改)

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この個体、私が入手した時点では欠品パーツありのジャンク品だったので、ペグをGOTOHのロック式に交換。
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ブリッジをTOM型ローラー・ブリッジに交換。
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等々のカスタマイズを施してあります。使い勝手は向上してるはずなんだけど、しかしやっぱり、めちゃくちゃ弾きにくいので放出。問題はネック&フレットにあるのだから、それ以外の部品を交換したって関係ないですわっていう当たり前の事を、わざわざパーツ代を投下して確認する骨折り損。

EP-2Lの発売時期はEP-200Lと同じ頃なんですけどねえ。200Lは22フレット、2Lは19フレット。ネックは別物ですね。


 弾き辛すぎて通常のギター奏法を用いた作例をなにするのが困難な場合は、エレキで弾くバッハに用いるのが良かろうという事で、6月にやったのの第2弾です。今回は通称『フランス組曲』の中の一曲。第6番のガボットです。

■アンプはLine6 POD Farm。USB I/O(GX)のヘッドフォン・ジャックからの出力をDAW用I/O(MindPrint AN/DI PRO)にプラグ・イン(相変わらずの杜撰接続です)。
■POD Farmの設定は、3パートとも、
・アンプ=Fender Twin/Drive=8/Bass=8/Mid=6/Treble=8/Presence=9/Vol.=8
・エフェクトにスプリング・リバーブ。設定はDwell=3/Tone=5.5/Mix=4
(前回SD-4Lの時と全く同じ設定ですが、今回はDAW上でリバーブを足してあります。)

■全部で3パート。各パートのPUポジションは、
・1st(上声)=F→F(Tone 0)→F
・2nd(中声)=Mix→F(Tone 0)→Mix
・3rd(下声)=F→R→F

■2010年06月12日録音


こ れ は つ ま ら ん

前回と今回とで、やってるのは同じような事なのに、なんでこんなに違うのか?

理由その1・曲タイプが違う;
 三声インベンションの13番は対位法の扱いに関心の焦点がある作品で、(鍵盤楽器の機能的・音響的特性に依存してる要素が少ないという意味で)器楽性は薄いと言える。つまり鍵盤楽器以外の楽器で演奏しても、曲の根本性質はあまり変化しない。
 対してフランス組曲の方は、対位法が薄く器楽性が濃い(フランス組曲という全集の全体に対して、概ねそういう傾向があると言える)。だから鍵盤楽器で演奏しないと、この曲本来の魅力は現れない:のではなかろうか?

理由その2・今回のは演奏が拙すぎ;
 とくにノリ方がおかしいかも。ガボットにはガボットのノリ方がある(らしい)。私のは、
「うんこらしょ・どっこいしょ」
っていう演奏になっちゃってますね。ダサいわこれ。

 バッハ作品と一口に言っても色々なタイプの曲がありますけど、私は今まで、いわゆる『平均律クラヴィーア曲集』系の、対位法重視で緻密に書き込まれた作品を主に聴いていて、器楽性重視で書法密度の低いバッハは、あまり聴いてないです。
 ところが最近、ここ数年になって『フランス組曲』のような、シンプルで小規模なバッハ作品も良いものだと思えてきました(というより嗜好の対象がフランス・バロックそのもの〈リュリやラモー〉に移りつつあるのかも……三味線音楽を聴き馴染んだ影響か?)。ですのでバッハの『フランス組曲』をちゃんと聴き直してみたいし、自分で弾いてもみたいと思ってます。しかし私は鍵盤は弾けないし、シーケンス・データ作成なんて面倒な事はもうしたくない。そこで、

「エレキで弾くバッハ」のコーナーは『フランス組曲』中心で行く☆

それが良い考えだと思ってたんですけど、今回のガボットの出来がこんなんじゃ先行き不安。目論見が外れて計画頓挫か?

posted by ushigomepan at 10:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 手放す機材の、お別れ記念録音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月01日

【お別れ録音】Guyatone PS-007 PHASER

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 グヤのフェイザーPS-007、これは自分用のではなくて、ちょっと前にひと山いくらでまとめ買いした時に混ざってたもの。すぐに売却しちゃったんですけどその前に、いい機会なんで録音してみました。

 自分がフェイザーを買い集めるようになったキッカケはグヤのこれなので、個人的には思い入れのある製品です。音の方は、今となってはわりとどうでもいい方のものに近づきつつあるんだけど、音色が硬いのが特徴で、同時期のBOSS PHシリーズとは好一対。色々なフェイザーを試してみたいという人にはおすすめです。安いし。

■ギター・アンプはYAMAHA YTA-25/マイクはAUDIX D-1

■リードはGuyatone LG-880"MARROLY"。PUポジションはF。

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■フェイザーの設定はSPEED=3時/DEPTH=3時/RESO.=12時

■バッキングはYAMAHA SR-700。PUポジションはF+R。

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■2010年08月06日録音

SR-700は配線を少し改造してF+Rが出るようにしてあります(その代わりC+Rが出ない)。

 このストラト・コピーは大改造する予定(K-PUを載せようかと)。その前に現状の音をなるたけ残しておきたいと思ってるので、しばらくの間このコーナーでの出番が増える予定。

一応スペック的なものを書き出しておきます。
■ボディ材はセン、ネックはメイプル1P。
■PUはVan Zant。F/CがTrue Vintage、RがVintage Plus。
本当は3つともTrue Vintageにしたいんだけど、10年くらい前だったかに中古で買い集めたものだから不揃いなのもしょうがないみたいな組合せ。
■トレモロ・ユニットはWilkinson VS1000N
■ペグはGOTOHのMG。白プラ・ボタン。 パーツはほぼ全交換です。ボディが水色なのも、以前のオーナーさんによるリフィニッシュ。

 マロリーも、前回の録音のあと、パーツ交換を行ってます。

ブリッジはWilkinsonに交換。

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フロントPUの吊り下げバネを長いものに交換し、PU位置を目一杯低くセット。トーン用コンデンサをスプラグに交換。
ノブがDAKA-WAREなのは、この画像を撮影した時の仮置き。何か適切なものに交換したいので選定中。

 ブリッジを変えたので、音は大きく変わってます。和ダスのダサい音ではなくなったのは、もちろん喜ばしい事なんですけど、マロリーらしさは失われたとも言える。どうしたものか思案中。スプラグは合わないみたい。

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リード/バッキングの役割を交替してもう1ファイル。

■ギター・アンプはYAMAHA YTA-25/マイクはAUDIX D-1
■リードはSR-700。PUポジションはF。
■バッキングはマロリー。PUポジションはミックス。
■フェイザーの設定はSPEED=11時/DEPTH=5時(ほとんどフル)/RESO.=12時

■2010年08月06日録音

 SR-700の弦、前回交換したのがいつだったか思い出せない。1年以上前、って事は流石にない(と思いたい)。完全に死んでます。銘柄はアーニー・ボール(ボールエンドを見れば分かる。自分、アーニーかダダリオしか使わないから)。
 ただでさえすぐ死ぬと言われてるアーニー・ボール、それを何ヶ月も張りっぱなし。
ナイロン弦みたいな音(■
好き嫌いでいったら、けっこう好きな音@私的

 グヤのエレキにグヤのフェイザーだからって、べつにこれが「メーカー推奨のベストな組合せ」というようなものではないと思います。Mod波形が、やや角張ってますね。PS-00Xシリーズって個体差がわりと大きい方かもとかなんとか。低音域がすっぽ抜け気味だけど、ベース・レスなら、むしろその方が良いのかも。

posted by ushigomepan at 20:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 手放す機材の、お別れ記念録音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月14日

【お別れ録音】Teisco SD-4L

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 1962年発売。イタリア製エレキ(EKOかなにか)のコピーです。

 まあコピー度が低すぎるので「コピーです」と言い切れるかどうかは微妙。コタツ板に貼るのと同じデコラ板で飾られたボディは分厚いランバコア。GF PUが4発並んだ両脇には甲冑のような金属パネル。
 EKOの現物ではなく、写真だけを見て作ったんだろうと思いますよ。いくらなんでも不細工すぎますんで。

 リットーのムックにはものすごく重たいように書かれてますけど、個体差が大きいのか、私の手にしたものは4kgちょうどで、重たい方には違いないけど、桁外れに重たいものではなかったです。
 音の方は見た目の仰々しさに相応しく、破壊的で悪魔的なクレイジー・サウンドを出力してくれます……っていうならステキなんですけど、とくにそういう事はなく、(テスコ基準で)ごく当たり前の音といいますか、どちらかというと地味な音、しかし金属パネルの共鳴を拾ってるのか、少しキンキンした所もある、そんなような音のエレキだったです。「空き缶っぽい音」系ね。

 ネック周りは60年代前半のテスコ製品なので、当然ながらとってもアレ。ボディのヘリが角ばってるので体に当たって痛い事もあり、非常に弾き辛い。そんなエレキで普通に曲っぽいものを弾いても面白くないですから、ここは思い切って、
★なるたけ出鱈目な感じ
を狙ってみたのが↓

■ギター・アンプはYAMAHA YTA-25/マイクはAUDIX D-1
■全部で3パート。各パートのPUポジションは、
・カッティング=4
・ベース風パート=1+3
・スライド(前半)=1
・スライド(後半)=1+2

*)PUナンバーはネックからブリッジに向けて1〜4となります。

■2010年06月05日録音

 当コーナーの録音作業はこの数ヶ月、ちょっと「型っぽい」のが多くなって自分的には飽きてきたから、今までの流れを軽くリセットするキッカケが欲しいと思ってた。そんな時にSD-4L。これはなかなか良いお題だったと思います。私なりの「ゴミ・エレキ活用法」ですね。

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 ↑の録音をしてから一週間後に、もう1トラック録音しました。J.S.Bach『3声のインベンション』の中の一曲です。

■アンプはLine6 POD Farm。USB I/O(GX)のヘッドフォン・ジャックからの出力をDAW用I/O(MindPrint AN/DI PRO)にプラグ・イン(相変わらずの杜撰接続です)。
■全部で3パート。各パートのPUポジションは、
・1st(上声)=3+4
・2nd(中声)=1+2
・3rd(下声)=1+4
■POD Farmの設定は、3パートとも、
・アンプ=Fender Twin/Drive=8/Bass=8/Mid=6/Treble=8/Presence=9/Vol.=8
・エフェクトにスプリング・リバーブ。設定はDwell=3/Tone=5.5/Mix=4
・キャビネット設定の記録は無し。

■2010年06月12日録音

 SD-4Lは「弾き辛くて、普通に曲を弾いても面白くない」から出鱈目弾き。そこから一週間で手のひら返しでクラシック。当コーナーは管理人が思い付くまま好き勝手をする「音の落書き帳」みたいな場所ですから、こういうのもありですっていう

 バッハの鍵盤作品をエレキのマルチ録音でなにしてみるってのは、以前からやってみたいと思ってた事なんです。それと、ネック周りがアレなエレキとは即興でサラサラ弾こうとした時にストレスが多かったり、ベンド等のエレキ的な奏法がやりづらいから「弾き辛い」わけで、クラシックの譜面をなぞるだけならむしろ楽(いやもちろん、弾き辛いですけど)。それで今回試みに一曲作ってみたんですが、

自分が予想してた以上に面白いものが出来上がったので驚いております。

 私個人的に、チェンバロの音って耳が疲れるので聴いてられないんです。ピアノで弾くバッハは響きが豊かすぎ・ふくよかすぎ・レンジ広すぎ等々の理由から、ちょっと変な感じがする。エレキで弾くバッハは、音色は鋭いけどチェンバロほど耳は疲れず、自分的にはこれが一番好みだわ。SD-4Lの音が少しキンキンしてるのも壊れたオルゴールみたいで、この曲に似合ってたかも。

 まともなエレキ(ストラトとかレスポール)だと、こういう面白さは出ないような気もします。(音の広がりというか、横幅みたいな意味での)レンジも、これくらい狭い方が、本来チェンバロではなくクラヴィコードで弾くためのものとして書かれたこの曲に合うのでは?声部を分離するためパンを振り分けてますけど、モノ・ミックスでいけたら、その方が良いんだろうなあ。

 もちろん今回の録音は全編未完成な状態で、音楽として評価されるべき点は何もないですけど、「エレキで弾くバッハ」というのはそのうち本腰入れて取り組んでみたい題材ですね。

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【お別れ録音】Teisco EP-8

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 シンライン支柱ありフルアコEPシリーズの初期型、60年代前半の製品です。PUはデュアルモンド風。このPUを載せた製品は現存数が少ないので、けっこう貴重。当コーナーに登場するのも初めてです。

 ただ残念な事にこの個体は、本来2つあるべきPUのうちブリッジ側が欠品でした。それとネック付け根部分のネック起きが激しい。だから弦高をかなり高くセッティングしないと実用になりません。実用になりませんというか、スライド専用機にするくらいにしか使い道のないものです。ですのでロー・ポジションのバッキング+スライドのリードの2パートで録音してみました。

■ギター・アンプはYAMAHA YTA-25。
■マイクはAUDIX D-1。
■エフェクター等は無し

■2010年06月05日録音

タグ:Teisco EP-8
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2010年07月12日

【お別れ録音】COLUMBIA CSG-631

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 1964年にエレキ業界に参入したコロムビア。最初の製品がこのCSG-631。製造元は創業間もないマツモク。両社とも日本のエレキ・メーカーとしては後発組に属しますが、その品質はテスコやグヤ等の老舗よりずっと上等です。というかテスコがダメすぎ。結局、明治期に始まる日本での洋楽器製造、1960年代には既にそれなりのノウハウを蓄積させていたこの楽器製造業界とは無縁の所で創業したテスコやグヤのエレキが、(一時的にせよ)大量に売れたというのも、競合他社が存在しないからこそ謳歌出来た我が世の春にすぎなかったわけで、一旦日本国内にエレキの需要が創出され、楽器製造に関する正規正則のノウハウを持ったメーカーがこのジャンルに参入し始めればテスコに太刀打ちする術は無く、70年代を待たずして市場から排除されてしまう。まあそれも当然といえば当然の流れではございましたね。

 もちろん「マツモク製のエレキが上等」といっても、それは64年当時のテスコ等と比べれば上等という意味で、現代のごく普通のエレキと比べればぜんぜんアレなものである、などという事は改めて申し上げるまでもありません。即ちこれがテスコ以上グレコ未満のエレキなのであり、ですから日本エレキ史上での時代区分の一つであるテスコ以上グレコ未満期の起点年は、このコロムビア製エレキの発売が開始された1964年であると言えるのではないでしょうか。テスコ以上グレコ未満品質のエレキが市場に多く出回るようになるのは70年代に入ってからですが、最初に出現したのは64年。意外に早い時期から存在してたわけですね。

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 それでその、このエレキのサンプル・サウンドとしては何を弾くのが相応しいのかという問題なんですが、

・弾きやすい方に違いはないが、何でもスラスラ弾けるという程ではない。
・破天荒な所がない分、音はまともで、だから逆に「これといった特徴が無い」のでもある。
・まあ「落ち着いたジャズ・トーン」と呼べなくもない音なんですけど、このコーナーでジャズ曲を弾くのは既に何回かやってるから(自分的には)飽きた。
・コロムビアに因み、コロムビア・レコードが出してたエレキ歌謡はどうだろうと思ったんですけど、コロムビア所属でエレキっぽい人といえば舟木一夫とジュディ・オングくらいなものですか……ジュディ・オング、悪くはないですけどね。もちろん舟木一夫のエレキ歌謡だって悪くない☆むしろ良い☆今回は見送ります☆

 色々考えてる内に面倒くさくなってきたのでとりあえず、自分的に一番ブナンな感じのものをちょろっと弾いて見たのが↓

■ギター・アンプはYAMAHA YTA-25。
■マイクはAUDIX D-1。
■バッキングのPUポジションはR。リードはF。
■バッキングにBOSS PH-1。Rate=10時/Depth=2時半

■2010年06月05日録音

なんかつまんないっすね

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 お次は、2octユニゾンのリフでロカビリーっぽいようなのをと考えて作業してみたら、ぜんぜん違うものが出来上がったという作例↓

■アンプとマイクは上に同じ。
■バッキングのPUポジションはF。リードはR。
■リードにBOSS DM-2。設定の記録は無し。

■2010年06月05日録音

これもつまんね

しかしこっちは途中「けっこうグルーヴしてる一瞬」があるので、そこだけは気に入ってます。なにが良かったのかな……

posted by ushigomepan at 13:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 手放す機材の、お別れ記念録音 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする