2014年09月20日

ART VLAとKORG ER-1の組合せ

my06a.jpg

 2014年6月に購入したART VLA。ボーカル録音専用機にするつもりで入手したコンプですけど、まず手始めにKORG ER-1に対して用いてみました。コンプの性能はドラムのような音域と強弱の幅が広いソースを通した方が分かりやすいので。その他、

1.BOSS GT-10ペダル・ワウを使ってみる。
2.Squier MMB-35のスポンジ・ミュートを外してみる。
3.YAMAHA SG-1000のまとめに書いた「アタックにアクセントが付いて云々」、それ実はSG-1000の特性ではなくYAMAHA PSE-40A(の、とくにコンプを)掛けてたせいだったかも知れない。それを確かめるため、別のエレキを同一条件で録音してみる。

等々、課題盛り沢山な今回の作例です。

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KORG ER-1ART DUAL MPを介してART VLAに接続。
■A/DコンバータはFocusrite Twin Trak
■ART DUAL MPの設定は;

INPUTOUTPUT 
4時センターHigh Z Inputを使用

(キックでClipの赤ランプが点灯する設定です)

■ART VLAの設定は;

ThresholdRatioOutput
-155:13.5/4.5
AttackReleaseLink or Dual
AutoFastLink

(チャンネルの左右で出力差があり、Outputを約ひと目盛り違えて概ね均等)

■DAWでEQしてます。設定は;
my06b.jpg

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■ART VLAではなく、Focusrite Twin Trakのコンプを掛けた音も部分的に用いてます(主にフィルイン)。
■接続順はKORG ER-1 → ART DUAL MP → Focusrite Twin Trak(インサート端子)
■ART DUAL MPの設定は上に同じ。
■Focusrite Twin Trakの設定は;

INPUTEQComp.
InsertOFFComp=センターSlow Att=Off
Release=0.1Hard Ratio=On
Hard Knee=On

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■ベースはSquier MMB-35
■スポンジ・ミュート不使用。PUフェンスに親指を置きブリッジ側を2フィンガー。
■本体Toneノブ=3
■接続順はSquier MMB-35 → ART DUAL MP → dbx 160XT
■A/DコンバータはFocusrite Twin Trak

■ART VLAの設定は;

INPUTOUTPUT 
2時半センターHigh Z Inputを使用

■dbx 160XTの設定は;

ThresholdOver EasyRatioOutput Gain
0off4:112時半

■DAWでEQしてます。設定は;
my06c.jpg

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■ペダル・ワウを掛けてるギターはYAMAHA SJ-500
BOSS GT-10を介してDAWへ
■PUポジションはミックス。本体Toneノブ=5。
■GT-10のパッチはツインリード風クリーントーン→クライベイビー風ワウ

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■曲中でソロを弾いてるギターはNBストラト・コピー(先)とGuyatone LG-880"MARROLY"(後)
■2本ともYAMAHA PSE-40A → BOSS GT-10 → DAWという接続。

■YAMAHA PSE-40Aの設定は;
my06d.jpg
YAMAHA SG-1000の【お別れ録音】と同じ設定です)

■GT-10のパッチはJC風クリーントーン
■PUポジションはNBストラト/MARROLYともにF

■Guyatone LG-880"MARROLY"はフェイザーを掛けてバッキングにも用いてます。
■フェイザーはPSE-40A。設定の記録は無し。
■PUポジションはR。本体Toneノブ=5。

■ギターは3本ともDAWでリバーブを掛けてます。設定は;
my06e.jpg

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■オルガンはNATIVE INSTRUMENTS B4
■設定は;
my06f.jpg

■スピーカーSONY SMS-1Pで鳴らし、それをマイクで拾った音を用いてます。
■収音に用いたのはMXL R144MXL 600
■マイクの立て方は概ね以下の通り;
my06g.jpg

■マイクプリはFocusrite Twin Trak

■MXL R144に対する設定は;

INPUTEQComp.
Imped.=620OFFComp=3時Slow Att=Off
Mic InRelease=AutoHard Ratio=ON
Hard Knee=Off

■MXL 600に対する設定は;

INPUTEQComp
Imped.=センターOFFOff
Mic InLow Cut=ON

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■録音期間;
2014年8月24〜9月7日

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 今回の作例の一番の眼目はART VLAに通したKORG ER-1の音。機材レビューの記事としては、VLAに通した音と通してない音の両方を並べてる「聴き比べ型」にするべきかもだけど、今回の曲はそういうのには不向きなように思えて、というかなんか面倒で、コンプを通してない音は用いてません。その代わりというか、VLAではなくFocusrite Twin Trakの内蔵コンプを用いた音を部分的に(主にフィルインで)差し替えて用いてます。

・ART VLAは、ぱっと聴いた感じはとくに特徴のない、地味な音のコンプだと思う。キツく掛かる設定にも出来るけど、それをすると音が遠のく感じがする。 ART VLAは、元ソースを大きく作り替えない範囲内で使うべきコンプのように思われる。
・一方Focusrite Twin Trakの内蔵コンプは、キツく掛けてグシャっと潰す設定にしてもOKである。いや、けしてそういう使い方に最適な製品ではなかろうけど少なくとも、キツい設定にすると音が派手になる。その点でART VLAとは対照的なコンプである。

 なので今回の作例では部分的にFocusrite Twin Trak内蔵コンプの音も用いました。フィル・イン・フレーズを叩くパーツにだけFocusriteのコンプを掛け、それをVLAを掛けたベーシック・パターンにレイヤーするのでも良かったかも知れません。なお、今回のドラム・パターンはER-1のプリセット、
B28 For the Jeeps
B24 Acid Jazz
B40 Dazz
というHip Hopカテゴリのパターン3つを適宜(改)するなりパーツ足し引きするなりしたものを組み合わせてます。

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 今回の作例の、録音物としての全体的な印象は雰囲気が暗い。暗いというより、抜けが悪い。エレキを3パート使ってるけど全てBOSS GT-10を用いた卓直の音で、マイクで録ったのはソフト音源のB4のみ、だからなのかも。SG-1000の【お別れ録音その1】もGT-10を用いた卓直のみの作例で、これも雰囲気が暗いですから。
 SG-1000の【お別れ録音その2】も概ね似たようなものですけど、こちらはパーカッションが生音なせいか、多少はマシなようにも思われる。だけどやはり全体的に無機質で、なんか「白けた感じ」がしますかねえ。
 GT-10は便利な道具だからついつい使ってしまいますけど、けして主役のパートを任せられる機材ではないと、それは入手当初から感じてた事でもあるし、GT-10の卓直ばかりで済ますのはやはりダメかも。とはいえ今回は他に生楽器を加える余地(というか必要性)は無いし、GT-10のワウを使う等の課題もあったから、こうなるのも仕方のない事ではありました。

 というわけで、その「雰囲気の暗さ、抜けの悪さ」を改善するため、2mixの最終段でハイ上げ加工を施しました。最近の作例ではほぼ必ず用いてるPSP Vintage Warmerを、いつもよりハイ上げに。設定は以下の通り;
my06h.jpg

マスター段でハイ上げするとドラムの金物類が目立ち過ぎになる。そのためER-1のEQが大幅なハイカット設定になってます。
my06b.jpg

 500Hz付近をカットしてるのはベース、ギター等とのバッティング回避のため。ローエンドをカットしてるのは、今回の曲にその部分は不要と思われたからです。まあ私は大抵どの曲でもローエンドはカットしてますけど。

 ART VLAを通すと低域が引っ込んだように聞こえるけど、それはコンプのお約束で、EQで低域を上げると復活する。つまり低域が削られる/失われてるのではないと思う。今回はマスター・チャンネルでローもブースしてるため、ER-1に対するEQでロー上げする必要はなかった。VLAは、音が太くなる系の機材ではなさそげですが、丸くなる/甘くなる的な変化が起こるかも。あるいは、落ち着いた音になる。ER-1との組合せは、今のところとても良好なように思われます。

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BOSS GT-10のペダル・ワウについて;

 バッキングでチャカポコ踏み続ける用法のものとしては「まあこんなものじゃないでしょうか」とでも言うしかない、実に無難な、つまり実にボスらしい音ですかねこれ。いや、私にとってワウのこの用法はわりとどうでもいいものなので(70年代前半型のくっさいディスコ風味をあえて取り入れたい時とかがあったら使うかも程度)、どうでもいいだけに逆に、ボスのこの無難さは便利かなと思う。
 いや、もしかすると、GT-10の音がデジタルエフェクトっぽくない、もうちょっと本物のワウに近いというか、無難というだけではない音だったなら「チャカポコ用途のワウも意外に良いのかも」と思い直してたかも知れないですけどね。

 なお、このワウを掛けたYAMAHA SJ-500には今回からフラット弦を張ってます。ソリッド・エレキにフラット弦の組合せは、なかなか良いです。ただ、今回のリフ・パターンは5〜6弦をほとんど使わないものだったので、それにワウを掛けてるという事もあって、フラット弦ならではの効果はとくにありません。それは次回以降の課題に。

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Squier MMB-35のスポンジ・ミュートについて;

 これは、付けない方が良さそうですね。なんか、フラット弦のベースにはスポンジ・ミュートを「付けなきゃいけない」みたいな思い込みがあったです。スポンジ・ミュートに求める効能は、レングスの自動調整。しかしそれが上手く機能してないうえに、ラインが聴き取り辛くなるという悪影響が生じてたかも。今後しばらくはスポンジ・ミュートは無しにします。

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YAMAHA SG-1000のまとめの記事には「SG-1000には全ての音に強いアタックが付く」と書いたけど、それはSG-1000ではなくYAMAHA PSE-40Aのせいだったのではなかろうか?という件について;

 これはお聴きの通り、SG-1000の【お別れ録音】と全く同じ設定でストラトとマロリーを弾きましたが、SG-1000のようなアタックは付いてません。となるとやはり、SG-1000のアタックはSG-1000特有のものなのでしょう。
 今回の作例では、とくにマロリーで、アタックが付きやすい奏法とフレーズ(SG-1000のようなアタックが付いた方がむしろ効果的なフレーズ)を多用してみたのですが、まるで同じにならなかった。こうなってみると、SG-1000を手放したのはちょっともったいなかったかもとも思われてくるわけですが、箱エレキ(SAとかAE)で似たような音が出せる可能性はあります。マロリーも調整次第では。

 なお、私はピックを用いない指弾き/フィンガー・ピッカーなので、薄くて硬いもの(ピック)で弦を振り抜いて鳴らすのではなく、柔らかくて重たいもの(指)で押し込むのに近い弾き方をしてます。だからアタックの特徴はピック弾きの人よりも現れやすいかも知れません。ベースの指弾き/ピック弾きの音は全くの別物。これは多くの人がそう認識してると思います。ギターだって同じですね。ただ、ギターはベースほどその違いが大きくは表れない。あと、ギターを指弾きする時は、ベースに対するのと同じ圧力は掛けない(というかギターは”的”が小さいので、ベースと同じようには弾けない)。という違いはありますけど、私の場合は、ギターに対しても「押し込む方向の圧力」を掛ける度合いは高めな方だと思う。なのでSG-1000のアタックがどーとかこーとかも、ピック弾きの人より余分に気になってしまうのかも知れませんです。

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ソフト音源NATIVE INSTRUMENTS B4をマイクで拾うやり方について;

 前回、YAMAHA SG-2Cの【お別れ録音】で用いたのは、中サイズのリスニング・オーディオ用3wayスピーカー。今回はSONY SMS-1Pという単発ユニットのスモール・モニター。
 スピーカーが小型だと低域が不足するかと思ったけど、全然そんな事はなかった。尤も、B4に対してボトム・エンド領域の低音は求めてないのではありますが。DAW内部での音とマイクを通した音との、音色の差も少ない(前回の中型スピーカーを用いた時は少し眠たい音になってた)。音色は変わらないけど、マイクを通した効果は確実に生じてる。これはなかなか良いと思います。

posted by ushigomepan at 03:01| Comment(0) | TrackBack(0) | MY楽器 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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