2013年11月24日

MindPrint AN/DIとFocusrite Twin Trak

86z.jpg

私が常用するマイク・プリ・アンプはMindPrintとARTとFocusrite。
 しかしFocusrite Twin Trakは2011年8月に入手して以来、三味線と唄を録るための専用機として自宅とは別の場所に置きっぱで、自宅でギターその他を録音する際にはMindPrint AN/DIのみを用いてきました。

ART DUAL MPは専らベース用DIとして使用。時々AKAI CD3000XL のキックやKORG WAVEDRUMのスネアとかも通しますけど、マイク・プリとしては全くと言っていいほど用いてません。)

 だったのですけど今年2013年の夏頃、Focusrite Twin Trakを自宅に持ち帰り、(エレキ以外の)生楽器の録音に少しずつ用い始めてます。Twin Trakを三味線にしか使わないのはモッタイないし、とくに内蔵EQやコンプは洋楽器に対して用いてこそ便利で美味しい機能なのでありましょうし。しかし、音の良し悪し的な事に関しては、AN/DIとTwin Trakは両方とも
「素人でも買いやすい範囲内での、そこそこの高級品」
だから、どちらも似たようなものです……と考えてたのだけど、やっぱり多少は違うみたい。問題はその「違い」が、私の貧相な宅録環境での録音結果に、あるいはそこから書き出したmp3ファイルに「有意義な違い」として現れるのか(あるいは現れないのか)であり、それは一応検証しておくべきであろう。一番の関心事は今後、MindPrintを三味線用に、Focusriteを自宅でのエレキ録音用にと役割を入れ替えてしまって問題ないかどうかである。そのため今回、比較用の音ファイルを作ってみました。

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■ギターはNBストラト・コピー、アンプはYAMAHA YTA-25、収音マイクはAUDIX D1
■PUポジション;
・リードはF
・専ら巻弦でリフを弾いてるのはC
・プレーン弦3本でコード刻みしてるのはR

■約3分間の演奏で4 verses。その内の
・前半2 versesのマイクプリがMindPrint AN/DI
・後半2 versesがFocusrite Twin Trak

■さらに、リード(F)の定位はセンターに固定ですが、バッキングの2パート(C & R)は各verse毎に定位を左右入れ替えてます。表にすると、

verse1st2nd3rd4th
PreAmp.MindPrintFocusrite
L ch.RCCR
CenterF
R ch.CRRC

私は左右の耳の聞こえ方がかなり違うので、音質比較用のためにはこうする必要があるのです。
ベースとドラムの定位は固定です。

■Focusriteの入力インピーダンスは1k6。EQとコンプはOff。

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■ベースはYAMAHA SB-800S
■コントロールの設定は、

F-VolR-VolTone
101010

■軍手弾き
■プリアンプはART DUAL MP
■コントロールの設定は、
INPUTOUTPUT 
フル11時High Z Inputを使用

■Focusrite Twin TrakをA/Dコンバータとして介して卓直

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■バス・ドラムはAKAI CD3000XL
■パッチはbest service pro samples Real Drum KitsというCD-ROM、
86.jpg
これのFunk Kitのnote=C

■CD3000XLのアナログ・アウトからART DUAL MPへ。そしてFocusrite Twin TrakをA/Dとして介して卓直。
■ART DUAL MPの設定は、
INPUTツマミを赤ランプが点かない程度にまで、OUTPUTはFocusriteがO.L.しない程度にまで上げ。

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■クラッシュ・シンバルとタムもAKAI CD3000XL
■クラッシュのパッチはバス・ドラムと同じ。
■タムのパッチはAKAI CD-ROM Vol.3のCOATED TOM
■CD3000XLのアナログ・アウトから卓直

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■スネアはKORG WAVEDRUM
■ART DUAL MP → Focusrite Twin Trakで卓直
■ART DUAL MPの設定は、

INPUTOUTPUT 
フル11時+20dB On
High Z Inputを使用

■DAW上でリバーブを掛けてます。設定は以下の通り。
86b.jpg

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■ハイハットはPearl
■収音マイクはMXL R144
■セッティングはシンバル中央から23cm シンバル上面の14cm上
■プリアンプはFocusrite Twin Trak。設定は

INPUTEQ
Imped.=1k6OFFComp=Off
HiGain=Off

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■ギターにもDAW上でリバーブを足してます。設定は以下の通り;

PUポジション=F
86c.jpg

PUポジション=C
86d.jpg

PUポジション=R
86e.jpg

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■録音期間;
2013年11月9〜15日

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 ギター3本にベースとドラムというシンプルな編成の作例でした。ギターにはDAW上でリバーブを加え、2Mixはいつも通りSteinberg MagnetとPSP Vintage Warmerの併用でゲイン上げした後、192kBit/sでmp3に変換してます。そういう事後処理の諸々が施された結果、プリアンプ2種類の音の違いなどは区別出来なくなってるかも知れません。

 私的には、違ってくれてない方が好都合なのです。Focusriteを自宅でのエレキ録音用に使ってもオーケーだという事なのですから。

 しかしmp3化した音ファイルからでさえもプリアンプの違いが聴き取れるなら、それはそれでスゴい事なのだけど、その場合はFocusriteの音がエレキ録音に適してるかどうかが問題となります。

 2Mixに混ぜる前のギターの音を単体で聴き比べると、FocusriteとMindPrintの音は明らかに別物です。
・MindPrintの方が低域多めで、いわゆる「太い音」がする。
・Focusriteは中域より上の情報量が多い。低域が少ないのかどうかはよく分かりません。音色は派手だけど線が細い、とも言える。
 今回使用したマイクはAudix D-1で、それに対しFocusriteの可変式入力インピーダンスを1k6で使用。これを別の値にすれば音質も違ってくるわけで、高域よりも低域を重視するならインピーダンスをもう少し下げるべきかも知れない。いやそもそも、FocusriteにD-1という組合せが良くないのかも知れない。

 結局、比較のための作例一つでは、ハッキリした結論なんて出せないのですな。

 リバース・ヘッドのストラトは6弦の鳴り方が普通のストラトとは大きく異なる。その特長を活かすため今回の作例では6弦を多用してるのだけど、この点に関してはFocusrite/MindPrintの両方とも上手く録れてません。だから私にとっての第一の課題はプリアンプのどっちがどうとかよりも、
「リバース・ヘッド・ストラトの低音域を上手く録るための方法を確立する事」
だという風に、話しがちょっと別方向に拡がってしまったようなところもあります。

 フロント・ポジションPUでのプレーン弦3本は12フレット付近に、鼻に掛かったような、奇妙な鳴り方をするポイントがある。
(ボルト・オン・ネック+シングルPU、なおかつクリーン・トーンでのみ顕著な現象かも知れませんが)
 それは「奇妙」というよりも、私的には美味しいポイントなので、これを実際の音通りに収音する事も重要な課題です。今回のについて言うと、どちらのプリアンプも(左右からもエレキの音に挟まれてるという事を考え併せれば)なかなか良好ではないかと思う。ただ、Focusriteの方が情報量が多い分、多少有利かな。

 まあいかんせん、1つのギターで3パートを賄うという条件が特殊すぎたかも。今回の作例はNB白ストラトのネックを交換してから最初の録音なのでもあり、出来るだけこれを多用したかった。そのため録音予定日の2〜3日前に弦を新品に張り替えるなどという当ブログとしては破格の優遇っぷりで3パート全てに活躍してもらったんだけど、カッティングとかは別の楽器にすべきだったかも知れません。ちょっと失敗。

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 というわけで今回は、プリアンプの比較に関する具体的な結論は出せませんでした。しかし私はこのところ、
・流行歌のメロディーをなぞり弾きするだけのような、
・そのくせオケが厚く仕上げるのに手間が掛かる、
そういうのばかりを続けて作ってたので(愛の迷い子ひとり上手Rocket LoveBUS STOPとShe's Not There)、久しぶりに
「弾きたい事を弾きたいように弾く。シンプルなオケでちゃっちゃと仕上げる。」
というタイプの録音が出来て良かったです。いや、流行歌なぞり弾き型お別れ録音はやりかけ状態のものがまだ沢山溜まっていて、本当はそっちを先に仕上げなきゃなんだけど、そういうのばかりを続けてると気分が腐ってくる。パート数の多い、音の厚いトラックを仕上げれば、手間を掛けたなりの成果もそりゃ一応はあるんだけど、出来上がったのを聴き返すと、ちっとも面白くない。これまさに音ゴミ。そんなのが3つ4つと積み重なってくと、だんだん鬱になってきて、やがては宅録をしようという気力さえ失いかねない。だから気分転換とか、自分本来のスタンスに戻るとか、そういう事のための作業を時々混ぜるべきなのですね。

 手間を掛けた丁寧な作業すると、現在の私の宅録環境で可能な事の上限がどこら辺かもだんだん分かってくる、という事もあります。「ああやっぱこんなもんか」的な。そういうのも鬱の誘発要因になりますね。
 でもまあ「昭和歌謡的リバーブどっさり」みたいな音作りは自分の趣味ではなく、それが上手く出来なくてもとくに困らないし、今回ののような編成でなら10年前のパソコン+10年前のソフトでもぜんぜんオーケーな音になる。うんうん大丈夫と、時々は自分を安心させる必要がある。一人遊びの趣味は「気持ちの管理」も自分自身でしないといけないのだ。いや、
「やりたい事をやる。したくない事はしない。」
の原則さえ守っていれば全てはオーケーなのかも知れません。

もっとも、宅録なんて趣味は、イヤなら止めるのでも一向にかまわないのではある。

 また一方、「何らかの成果を残す」だとか「その成果を積み上げていく」とかを望むなら、イヤな事にも取り組まなくてはいけない。出来ない事は、出来るようにしなければいけない。
 とはいえ、少なくとも遊芸の世界では、それを自分の好きでやってる以上、技芸面の諸々は出来て当たり前。出来ない事があるのなら、さっさと出来るようにしといてちょうだいてな話しで、出来なかった事が出来るようになる「喜び」だとか「達成感」だとかを求めるべきものでもない。「努力」を売り物にしたりするのは三流の幇間だってしやしめえ醜態で、ところが「やりたい事をやる」という立ち位置は本来、「出来ない事はない」という人のみが上がる事を許された土俵なのかも知れず、となると「したくない事はしない」という姿勢を貫くには「したくない事も出来る」ようにしておく必要はやはりあるのかななどと云々。

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 ダブル・ストップで半音下降するのはフォートワースからやって来た某氏の必殺技ですが、今回はそれの変形を一個所使ってみました。

86f.jpg

 今回の用法は瞬間ネタすぎて伝わりにくい芸風みたくなってますけど、自分では気に入ってるので、だからわざわざこのように譜面化までして、今後も折りに付け使ってみるつもり。

posted by ushigomepan at 01:10| Comment(0) | TrackBack(0) | MY楽器 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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