2013年01月21日

YAMAHA LL-6JにD'Addario EJ13を張ってみたので取りあえず録音

79.jpg

 YAMAHA LL-6Jにマーチンのコンパウンド弦(M130)を2年以上も張りっぱにしてたんですけど、久しぶりにブロンズ弦に戻したので録音してみました。ゲージは011〜052で、フォーク・ギター用としてはけっこう細い方です。

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■リードとバッキングの2パート・マルチ ■収音マイクは両パートともRCA BK-5B
■マイクプリはMindPrint AN/DI Pro
■マイクの立て方は、

距離
リード上手側やや上方からサウンドホールを狙う15cm
バッキング下手側やや上方からサウンドホールを狙う20cm

■DAW上でEQしてます。設定は以下の通り;

・リード・ギター
79g.jpg

・サイド・ギター
79h.jpg

■リバーブも掛けてます。設定は以下の通り;

・リード・ギター
79b.jpg

・サイド・ギター
79c.jpg

■2012年10月12日録音

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SP盤に録音された弦楽器の音は独特。

SP期とテープ録音期の両方に音を残してる人を聴き比べてみると、

79d.jpg
(例えば七世芳村伊十郎)

SPでもテープでも、声の印象はそれほど違わない。もちろん音質的にはかなり違うけど、少なくとも「別の人かと思う」ほどの極端な違いはない。SP録音での声の再現性は、概ね良好。しかし三味線は、
・テープ期は絹糸の音
・SP期は鉄弦を張ってるんじゃないかと思うような音。
かなり違います。

 SP録音はソースごとの向き不向きの差が大きいのかも知れない。中でも打楽器系の再現性は、かなり悪いと思う。大鼓は金床(かなとこ)を打ってるような音、小鼓は弁当のタッパーをひっぱたいてるような音になってる場合が多い。洋楽のドラムに関しても、似たような傾向があると思う。
 となるとSP録音は、アタックの鋭い、立ち上がりの早いソースほど再現性が悪くなるのかも知れない。まあ私はエンジニアではないので、具体的な事は分かりません。肝心なのは、

・SP盤の三味線の音は鉄弦みたいだけど、けしてそれは悪い音ではない。
・むしろ良い☆

という事です。ちなみに、ここで伊十郎師を例に挙げたのはSP/テープ両時期の音が残ってる代表的な人だからで、SP期ならではの三味線の音が聴ける最も良いソースは伊十郎師よりもひと世代上の、慈恭/浄観組あたりではないかと思う。

79e.jpg

 力強い堂々とした音色の演奏で、この録音を聴くと浄観師ってすごい三味線弾きだなあと思いますけど、実はこれ、SP盤ならではの音色で「儲けさせてもらってる」部分も多いのではないか?
(なお、三味線ならなんでもSPの音が似合うのではなく、撥先が薄い系統の三味線--江戸浄瑠璃など--に関しては、きっと実際の音とはかなり違うんだろうなあという不満の方が大きくなってしまいますね。)

 ともかく、SP期の三味線の音はテープ期とは異なる特徴があるのだけど、それが「良い音」だと感じられる理由は何であろうか?という問いに対する私の仮説;

「テープ録音には、いわゆるテープ・コンプレッションという、このメディアならではの効果があるが、SPにもSPコンプレッションとでも呼ぶべき独特の効果ある。」

 そしてそのSPコンプは、弦楽器に対してはプラス方向に作用する。それは三味線だけでなく、洋楽のギターについても同じ事が言える。例えばジャンゴ・ラインハルト。彼は1953年に亡くなったので、残されてる録音のほぼ全てはSP。

79f.jpg

 彼の演奏はマジックだ、というか奇跡だ、と私は思う。現在の基準からしたら特別すごいような事をしてるわけでもない、100年近く前の古式音楽なのだけど、それでも彼の残した音に引き込まれ、思わず聴き入ってしまうのは、音色の魅力も大きいと思う。力強く明快でハギレが良い音。しかしそれが、私の言うSPコンプの効果に負う所が大きいのだとしたらどうであろうか?同じ事はアメリカの、1920〜30年代に盛んに録音されたフォーク・ブルースのギターの音についても言える。現在の機材を使って録音すると、なぜかああいう音にはならない。

 とはいえ自分は、SP盤の音の再現を目論んでるのではありません。好き嫌いでいうなら60年代のSTAX、70年代のカーペンターズあたりが一番好きだし、目指すべきなのはそこら辺だろうと思ってる。それと、SP盤の音は中域ばかりが分厚いせいか、長時間聴くと耳が疲れてくるのが難点。そもそもラッカー盤をダイレクト・カッティングするというプロセスを経ないなら、SP盤と同じ音を作るのは無理である。
 ただ今回の、YAMAHA LL-6JにRCAのリボン・マイクを組み合わせた録音が、ほんの少しだけSP盤の音に似てる部分があるような気がしたので、以上のような無駄文を書き残しておく事にしたのでございます。

 もちろん今回のは、ステレオMixにしてある&足の長いリバーブを足してるという点でも明らかなように、SPの音に似せようという意図など最初からない。ただ、出来上がったものを聴き返しているうちに、ほんのちょっとだけ、三味線の絹糸が鉄弦の音のようになってしまうという硬い質感の音が、(主にバッキング・パートの方で)録れてるように思えたのですね(鉄弦のギターの音が、更に鉄弦っぽくなるというのも変な話しですが)。
 となると、私がSPコンプと呼んでる効果の半分くらいは、リボン・マイクの特性で作られてるのかも知れません。マイクプリをMindPrintよりも情報量少な目のもの(ART or MACKIE)に変えれば、この特徴は更に強められるのかも知れません。

参考ページ;
ナイロン弦ギターをリボン・マイク+MindPrintで録った音
ナイロン弦ギターをリボン・マイク+MACKIEで録った音
↑やはりこういう作業をしておくと便利なものですね♪

posted by ushigomepan at 01:11| Comment(0) | TrackBack(0) | MY楽器 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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